セルフサービス型サポートを導入すれば、顧客は自分の力で問題を解決出来るようになります。セルフサービスと言うと最初に企業側が得られるコスト削減などのメリットが浮かぶと思いますが、企業に問い合わせをする手間なく状況を改善出来る状態は、顧客にとっても大きなメリットになるでしょう。
この記事ではセルフサービス型サポートについての基本的な知識や種類とともに、構築時のポイントを紹介しましょう。セルフサービス型サポートの導入を考えているのなら、ぜひ参考にしてください。
セルフサービス型サポートとは
セルフサービス型サポートとは、顧客が企業に問い合わせをせず、自分自身で問題を解決するサポートを指します。具体的にはチャットボットやFAQを活用し、発生している問題や疑問点を顧客自ら検索するなどして解決することです。
セルフサービス型サポートの構築によって、顧客満足度を高められると言われています。
セルフサービス型サポートを導入するメリット
ここからは、セルフサービス型サポートの導入によって顧客・企業が得られるメリットについて詳しく説明しましょう。
メリット1 顧客が短時間で問題を解決出来る
誰もが今ある問題を少しでも早く解決したいと感じるものですが、企業に問い合わせて状況を説明してから回答をもらうためには、ある程度の労力と時間が必要になります。
電話による問い合わせであれば電話がつながるまで何分間も待たされることは珍しくありませんし、メールによる問い合わせの場合は担当者から返事来るまで問題は解決されません。最悪の場合、数日間問題が保留されてしまう可能性もあるでしょう。
セルフサービス型サポートでは、自分の都合の良いタイミングですぐに問題を解決出来ます。
メリット2 社内コストを削減出来る
カスタマーサポートの窓口には、毎日同じような問い合わせが集まります。どんなに簡単な内容であっても、その問い合わせに対応するためには、多くの人材とコストがかかるでしょう。
セルフサービス型サポートでは、顧客が自分で問題を解決してくれるため、そのコストを大幅に削減出来ます。カスタマーサポートは直接やり取りが必要な特別な問題のみに絞ることで、人手不足も解消可能でしょう。
メリット3 社内教育にも使える
セルフサービス型サポートの代表例であるFAQは、問い合わせの頻度の多い質問と回答をまとめたものですが、このようなデータは社内教育にも活用出来ます。先輩担当者と顧客とのやり取りは、実践的なトレーニングツールになるでしょう。
通常のマニュアルよりも、短期間で顧客対応が可能な教育を実現出来ます。
セルフサービス型サポートの種類
セルフサービス型サポートにはいくつかの種類があります。ここからは代表的なセルフサービス型サポートの種類について説明しましょう。
①FAQページ
FAQとは問い合わせ頻度の多い質問と回答を集めたものです。可能な限り多くのFAQを集める必要がありますが、何よりも質問・回答ともに簡潔でシンプルにまとめられていることが大切です。
より詳細な情報を知りたいと感じたユーザー向けに、後ほど紹介するナレッジベースへのリンクや直接問い合わせの連絡先も記載しておくと良いでしょう。
②ナレッジベース
情報や知識を集めたものです。先ほどお伝えしたFAQの回答に、詳細情報としてリンクを貼り付ける場合もあります。
多くの場合ナレッジベースの情報は膨大な量になるため、優れた検索機能を搭載して、必要な情報がすぐに手に入るようにしなくてはいけません。カテゴリー分けやタイトル名を工夫し、顧客が目的の情報を見つけやすい状態を整えましょう。
③コミュニティフォーラム
コミュニティフォーラムは、疑問点の書き込みとその回答もユーザー間で行ってくれるシステムで、過去の質問を参考にすることも可能です。ユーザー目線で噛み砕いた説明を行ってもらえる場合が多く、掲示板のような感覚で話が進められるでしょう。
もちろん、企業の管理者も内容をモニタリングする必要があります。
④モバイルアプリ
顧客自身がスマホなどのアプリを利用して、手続きや企業への報告などが行えるものです。例えば、デリバリーをアプリで依頼するサービスで、デリバリー注文をした顧客が自ら注文変更やキャンセルなどを依頼するなどが、その具体的な例になります。
顧客は企業に電話やメールなどでアプローチしなくても、アプリ内で問題を解決出来るということです。
⑤チャットボット
チャットボットは、顧客と企業でチャット形式のやり取りを行えるシステムで、AIが顧客が入力した疑問内容に対応した回答を表示させ、問題の解決を促します。精度の高いチャットシステムが用意出来れば、短時間で顧客に正しい回答を提示出来るでしょう。
⑥自動応答に対応したコールセンター
チャットボットやメールなどのカスタマーサービスが増えている今でも、電話によるカスタマーサポートには一定の需要があります。自動応答に対応したコールセンターでは、用意しておいた回答を顧客に選んでもらい、提供することが出来ます。
オンラインでの情報提供に比べると回答数は減ってしまうものの、パソコンやスマホ操作が苦手だと感じるユーザーにもセルフサービス型のサポートが行えるでしょう。
セルフサービス型サポートを構築する際のポイント
セルフサービス型のサポートを構築する際には、知っておくべきポイントがあります。ここからは、そのポイントについて説明しましょう。
ポイント1 セルフサービス型のサポートの存在を分かりやすくする
セルフサービス型のサポートが用意されていても、その存在が知られていないのでは意味がありません。自社サイトのトップページにヘルプセンターへのリンクを記載するなどの方法で、顧客がその存在に気が付きやすいようにしましょう。
企業サイトの中には、サイトの訪問者全員に対してサポートチャットボットを立ち上げている場合もあります。企業サイトを検索するユーザーの一定数は何らかの疑問を抱えているため、非常に有効な手段だと言えるでしょう。
また、検索エンジン最適化(SEO)対策を行えば、ユーザーが一般的な検索エンジンを使って疑問点を検索した場合にも、自社サイトに誘導出来るようになります。
ポイント2 理解しやすい説明をする
多すぎる情報は顧客に混乱を招き「分かりにくい」という印象を与えてしまいます。セルフサービス型のサポートでは誰でも分かりやすい文章を用意し、専門用語などの難しい用語は使わないようにしてください。
特にFAQの回答には簡潔な説明を用意し、より詳細な情報が知りたい顧客向けにナレッジベースのリンクを貼っておくと良いでしょう。
ポイント3 追加と改善を繰り返す
セルフサービス型のサポートは立ち上げれば完了というものではなく、顧客の抱える問題やニーズに合わせて常に追加や改善を繰り返していく必要があります。
セルフサービス型のサポートで解決が出来なかった問題を調べ、長期的に充実したサポートが行えるようにしましょう。
ポイント4 誰にでも使いやすいサポートかを考える
セルフサービス型のサポートにはいくつかの種類があることをお伝えしましたが、どれが優れている・劣っているということではなく、それぞれのサポートを求める顧客がいます。
例えば視覚障害のある方にとっては電話サポートが役立ちますが、聴覚障害や発話障害のある方にとっては適していません。また、インターネット環境がない方、日本語が読めない方でも使えるセルフサービス型のサポートが整えられているかを考えるようにしましょう。
セルフサービス型のサポートは、必ずしも一種類に絞らなくてはいけないものではありません。
まとめ
セルフサービス型のサポートは、顧客と企業の両方で多くのメリットがあるものです。まずは、自社に最適なセルフサービス型サポートの種類は何かを考えることから始めましょう。
また、セルフサービス型サポートの導入には、ツールを利用するのが便利です。様々な種類のセルフサービス型サポートのツールがリリースされていますので、チェックしてみるといいでしょう。FAQやナレッジベースであれば、専用のツールでなくても情報を蓄積し共有できるツールで構築することが可能ですので、選択肢を狭めず検討するといいでしょう。