名刺交換は、お互いの会社名や連絡先を相手に伝えるために行いますが、ただ名刺のやりとりをすれば良いというものではなく、守るべきマナーがあります。
マナー違反があった場合、自分や会社の印象が損なわれ、優れた提案をしても仕事につなげることが難しくなってしまう恐れもあるのです。この記事では、ビジネスマナーの基本とも言える名刺交換のマナーやNG行為について説明しましょう。
今までなんとなく名刺交換をしていたという人も、ぜひ参考にしてください。
ビジネスにおける名刺の役割
ビジネスの場で名刺交換をすることは慣例化されており、その理由を考えることもないでしょう。ここではまず、名刺が持っている役割について説明します。
1 相手と連絡が取りやすくなる
名刺には電話番号やメールアドレスなど、連絡を取るために必要な情報が記載されています。
初対面の相手でも名刺のやり取りさえ行っていれば、連絡先を聞かずに交流が出来るようになるのです。
2 コミュニケーションツールになる
名刺交換そのものが初対面の相手との挨拶という位置付けになるため、名刺交換をすることでコミュニケーションを始めやすくなります。
名刺の内容を話題として会話を進めることも出来るでしょう。
3 事業の宣伝になる
名刺には個人の情報だけでなく、会社の事業内容やPRも記載されていることが多いです。
名刺交換をした際には予定していなかったとしても、ふとしたタイミングで以前渡した名刺がビジネスチャンスになる可能性もあるのです。
名刺交換する際のマナー
名刺交換のマナーは数が多く、初めは面倒に感じてしまうかもしれませんが、どのマナーも覚えてしまえば簡単なものばかりです。ここからは、代表的なマナーを紹介しましょう。
1 名刺交換時の姿勢
名刺交換は立って行うことが基本です。
訪問先で会議室などに通され着席した状態だとしても、相手が入室したら立って出迎え、名刺交換をするという流れを覚えてください。
相手との間にテーブルを挟む場合には、テーブル越しに名刺交換をせず、相手の近くに移動して名刺を交換します。
2 名刺を渡す時
名刺はポケットやバックからではなく、必ず名刺入れから出してください。
名刺交換の時に慌てることのないよう、すぐに名刺が取り出せるようにしておくと良いでしょう。名刺を渡す際は、自分の会社名と名前をフルネームで名乗り、軽くお辞儀をしながら差し出します。無言で名刺を渡さないようにするのがポイントです。
名刺が相手に見やすい位置で名刺を差し出し、指で名刺に記載されている文字が隠れない渡し方が自然に出来るようにしておくと良いでしょう。
3 名刺を受け取る時
相手の名刺は、名刺に記載されている文字に指かかからないように注意しながら両手で受け取り、「頂戴いたします」などの一言を添えてください。
名刺を受け取った後は、相手の名前を「〇〇様ですね」と読み間違いがないか確認すると良いでしょう。名前や部署の話題で話が広がり、コミュニケーションを取れることもあります。
そのままテーブルのある場所で話が進められる場合には、受け取った名刺をすぐにしまってはいけません。自分の左側に名刺入れを置き、その上に名刺を乗せておきましょう。
複数人と名刺交換する際のマナー
複数の相手と名刺交換をする時には、その順番や流れが少し複雑になります。
まずは上座や下座を覚え、名刺交換をする前に相手の役職順が把握出来るようにしておきましょう。
1 名刺交換は役職が上の者同士から始める
複数の相手と名刺交換をする場合、自分が一人であれば相手の最も高い役職の方から名刺交換を始めます。
複数の担当者同士が名刺交換をする時は下記の例を参考にしてください。
【複数の相手との名刺交換の例】
自社:上司、自分
他社:上司、担当者
1番:自社の上司と他社の上司
2番:自社の上司と他社の担当者
3番:自分と他社の上司
4番:自分と他社の担当者
まずは自社の上司が他社の役職が上の相手から名刺交換を進め、自分はその後だと覚えておくと良いでしょう。
さらに名刺交換は「訪問する側よりも訪問される側の方が上」「受注者側よりも発注者側が上」という会社の上下関係も理解しておかなくてはいけません。名刺を先に差し出すのは下の立場の会社からです。
2 受け取った名刺は並べておく
名刺交換後にテーブルのある場所で話が進められる場合には、一対一の名刺交換と同じように、受け取った名刺を自分の左側に並べます。
この際は、最も上の役職の方からもらった名刺を自分の名刺入れの上に置き、席順と同じように名刺を並べます。こうすることで、顔と名前を一致させます。
相手の人数が多く、名刺入れに誰の名刺を乗せるべきか分からない場合には、全員の名刺をテーブルに並べるという方法もあります。
名刺交換する際のNG行為
名刺交換には守るべきマナーがあることをお伝えしましたが、相手を不快にさせてしまうNG行為があります。
名刺を交換する相手に悪い印象を持たれないよう、名刺交換のNG行為を理解しておきましょう。
1 名刺の置き忘れ
名刺交換後にテーブルについて話を進める場合、受け取った名刺をテーブルに並べておくのがマナーだとお伝えしましたが、そのまま名刺を置き忘れてしまうと、非常に失礼な行為になります。
慌てていたり、緊張していたりしても、受け取った名刺を大切に扱うことを忘れないようにしてください。
また、打ち合わせ中に書類が増え、相手の名刺の上に書類を乗せるような行為も避けましょう。テーブルのスペースに余裕がない場合は「名刺をしまわせていただきます」など一言を添えて、名刺をしまうようにします。
2 相手の名刺に書き込みをする
特に毎日多くの相手と名刺交換をしているビジネスマンの中には、相手の特徴や会話の内容を名刺に書き込んで管理している方もいると思います。
もちろん名刺の管理方法としては間違いではないのですが、相手のいる前で名刺に書き込みをすることはマナー違反です。
例えば追加の連絡先を教わったとしても、自分が用意したメモなどを使用し、相手の目の前で名刺に連絡先を加えるようなことは避けましょう。
3 折れた名刺・汚れた名刺を渡す
名刺入れを利用していれば、あまり名刺が劣化することはないと思いますが、折れていたり、汚れていたりする名刺を使用するのはやめましょう。
そのような名刺を渡された相手は、不快な思いをするでしょう。名刺入れの中身は毎日確認し、安心して名刺が差し出せる状態にしておいてください。
4 名刺を忘れる・切らす
名刺交換のタイミングで名刺がないというのは失礼に当たるだけでなく、相手に「連絡先が分からない」という不便な思いもさせてしまいます。
悪気がなかったとしても、万全の準備をせずに訪問して来たと思われてしまう恐れもあるでしょう。
避けるべき事態ではありますが、万が一名刺が手元にない場合には「忘れてしまいました」ではなく「あいにく名刺を切らしてしまいました」と謝罪をし、再度訪問したり、名刺を郵送したりするなどの対応を取ってください。
まとめ
名刺交換のマナーやNG行為を紹介いたしました。名刺交換のマナーは慣れてしまえば自然と行えるようになるものです。初めは緊張すると思いますが、練習してイメージを膨らませておけば、自然とマナー通りの動きを覚えられるでしょう。