組織図と言えば大企業で使用するものだと考え、組織図自体の必要性を感じていない中小企業もあるようです。しかし、組織図をうまく活用すると企業の成長を促す効果が期待出来るのです。
この記事では、中小企業が組織図を作成するメリットや具体的な例を用いて作成方法を説明します。自社に組織図がない場合は、ぜひこの記事を参考にしてください。
組織図とは
まずは組織図とは何か?その役割を理解することから始めましょう。
組織図は組織の業務を円滑に進めるためにあり、会社にある指揮系統をひと目で分かるようにして、部署ごとの編成や部署同士の相互関係を示すことが出来るものです。
組織図があれば業務の流れを簡単に理解でき、業務の分担・調整がしやすくなるので、無駄を省くなどの業務の効率化も進められるでしょう。そのため、多くの企業で組織図が採用されています。
中小企業では従業員数が限られるという理由から組織図が用意されていない場合もありますが、組織図には上記のような役割があると考えると、組織図の必要性に企業の規模は関係ないことが分かります。
全社員の顔が分かるような規模の組織でも組織図を作成することで、組織全体の構成だけでなく業務まで把握しやすくなるでしょう。
中小企業が組織図を作成するメリット
ここからは、中小企業が組織図を作成するメリットを具体的にお伝えしましょう。
組織図がなぜ企業を成長させることが可能なのかが、より分かりやすくなると思います。
メリット1 組織全体を見える化出来る
組織図があれば、組織の構造を視覚的に把握出来ます。
経営者にとっては、部署ごとの役割や関係性、具体的な業務や人数が理解でき、社員にとっては自分が働く企業の全体像を掴みやすくなります。
長年組織に所属している社員でも、組織図を見て自分の思い違いに気付かされる可能性もあるのです。
もちろん組織図は、入社したばかりの社員や、顧客・取引先に会社の規模や業務内容を伝える時にも役立ちます。管理体制が整っている企業だとアピールすることも出来るでしょう。
メリット2 組織の指揮命令系統を明確化する
組織では責任者や権限の所持者が明確になっていなければいけません。
例えば「重要な判断を下す時に誰に判断を仰ぐべきか」「トラブル発生時の報告先は誰か」などが分からない状態では、混乱を招いてしまうためです。
組織図を見れば職位や部署間の関係性が確認出来るため、判断を急ぐような問題が起こった時にも的確な対処が出来るようになります。
上層部の立場からしても、業務を誰に依頼すればいいのか、またその業務を実際に行う担当者が誰なのかが、組織図を見て判断可能になるでしょう。
メリット3 組織の業務を客観的に見られる
組織図から、現在の事業構造や部署ごとの役割、担当する業務を把握可能になると、組織全体の業務やその流れを客観的に見られるようになります。
業務に対して人員不足・人員過剰な部署や、役割の重複などに気がつくことが出来れば、業務の効率化や改善を行えるでしょう。
組織図を作れば、組織の行う業務も見える化出来ると言うことです。
人員の入れ替えは都度実施され業務環境も日々変化するため、業務改善は定期的に行わなければいけませんが、組織図があれば問題箇所を発見しやすくなるのです。
経営に役立つ組織図とは
紹介したように組織図には多くのメリットがあるため、組織図を導入することで企業が得られる利益は大きいと言えますが、全ての組織図にそのような効果が期待出来るわけではありません。
ここからは分かりやすく組織図の例を使って「悪い組織図」「良い組織図」の違いを説明しましょう。
悪い組織図を作成しても十分な効果は得られませんので、注意してください。
悪い組織図の例
この図のように、ただ部署名と名前を並べたような組織図は、組織図としての役割を果たせていないと言えます。
組織図から得られる情報はほとんどないので、先ほど紹介したようなメリットを感じることもないでしょう。
良い組織図の例
このような組織図が目指すべきものです。
実際にはもっと部署名が増えるため、指揮系統や責任の所在が分かりやすく、部署ごとの役割が明確になるでしょう。
担当者に係の名称などがあるのなら、細かく記載するようにしてください。
担当者単位で何らかのトラブルが発生した時には、判断を仰ぐべき上長が誰であるかも一目で確認出来るため、判断に困ることはありません。
中小企業経営に役立つ組織図の作成方法
中小企業での組織図の作成方法をお伝えしましょう。経営に役立つ組織図が作るためには、下記の手順を守ってください。
どの手順も重要な項目なので、十分に時間をかけて工程を進めます。
①組織の中にある役割を整理する
まずは自社内にある部署を全て正しく整理します。
簡単なことのように思えますが、ほとんどの組織では部署を起点として課、係、担当のように細かく枝分かれする構造が出来ており、これらを漏れなく洗い出して整理しなくてはいけません。
枝分かれした先の役割や機能の確認も必要であるため、この作業には多くの時間が掛かります。
しかし、ここで漏れが生まれてしまうと正確な組織図は作成出来ません。一つ一つの部署・課・係ごとに確認を取りながら正確な情報を収集してください。
企業の規模が大きくなるほど部署数が増えるものなので、この作業に必要な時間・労力も増えるでしょう。
②部署・課・係ごとの関連性を把握する
全ての部署・課・係などを整理して役割を調べた後は、それぞれの関連性を把握します。
通常組織では、一つの業務を一つの部署で完結させるのではなく、いくつもの部署が関連して業務を進めていきます。
総務部や人事部のような後方支援に徹している部署もありますが、全ての部署は企業にとって欠かせないものです。
それぞれの関連性が分かれば、複数の部署で行う業務の工程や、部署を超えた括りでの指揮系統も明確にしやすくなります。
そのため、部署・課・係ごとの関連性を把握することは、組織図作りに欠かせない要素だと言えるでしょう。
③組織図を作ってみる
組織図は何度も修正を重ねながら完成に近づけていくものです。
最初から完成形を作成させようと思わずに、まずは組織図の全体像を確認することを目的として、ここまで整理した内容を図にしてみましょう。
そうすると、大まかな組織図の形が見えてくると思います。
自社に最適なフォーマットを使えばスムーズに組織図が作成出来るため、インターネットで検索してみると良いです。
④人の名前を入力していく
組織図の形が出来たら、社員の名前を入力していきます。漢字や名前に間違いがないようによく注意してください。
⑤必要な情報を追加する
ここまでの作業で組織図はほとんど完成している状態になります。最後に追加の情報を入力していきましょう。
責任者の職位は多くの組織図に記載されている項目ですが、部署の人数・役割などの情報も記載すると、業務改善時に役立つでしょう。
まとめ
組織図の役割や例、組織図の作成方法について紹介いたしました。組織図には企業の構造を見える化するだけでなく、業務効率化や指揮系統の明確化などのメリットが得られます。
そのため、中小企業にとって組織図は自社を成長させるためのキーポイントになるのです。
ただし、組織図であればどのようなものでも良い効果が得られるとは言えません。この記事で紹介した方法を参考に、自社に最適な組織図を作成してみましょう。
また、作成した組織図は必ず社内で共有しましょう。人事異動や部署の新設などで組織図に変更が生じた場合は、速やかに変更することも必要です。情報共有ツールをを用いるなどして、全社員への共有と変更した際の周知ができるような環境を整えてください。