3分でわかるRPA|効果とメリット、導入方法、成功事例など

企業が抱える課題の解決には、RPAの導入が有効です。RPAはロボットならではの効率性と最新技術との連携で、さまざまな業務の円滑な進行を支えています。
しかし、RPAとはどのようなものなのかよくわからないという方も、まだまだ多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、仕組みや導入メリットなど、RPAについて詳しくご紹介します。

目次

RPAが台頭してきた背景

世界的な人口減少と急激な少子高齢化により、日本の労働力人口は減少しています。また、働き方改革が叫ばれ、長時間労働に対する厳しい対応が求められるようになったことから、労働者一人に対する労働時間も減少しました。このような人口減少と社会の流れにより、市場は人手不足という大きな課題を抱えています。

そして、人手不足という問題をテクノロジーで解決すべく、注目され、導入が進められるようになったのがRPAです。

RPA(Robotic Process Automation)とは、コンピューター上で処理される業務プロセスや作業を人に代わって、自動化する技術です。今まで人の手で行っていた業務をRPAに任せれば、人員削減が叶い、人員を本当に必要な業務に配置できます。また、RPAは正確で速く、24時間業務を行えるので業務効率化にも有効です。

RPAは、まさに時代に合った選択手段だと言えるでしょう。

RPAの仕組み

まずは、RPAがどのような仕組みで業務を進行するのかご説明しましょう。
RPAの仕組みにおいては、「シナリオ」が重要な役割を果たしています。

シナリオとは
業務フローを、ロボットが理解できる状態にしたもの。RPAロボットは、書き記されたプログラムの認識やユーザーが行う作業の自動認識により、業務フローのシナリオを理解し、実行していく。

RPAロボットは、人間が作ったシナリオを理解し、その内容に沿って業務を進めていきます。これが、RPAによる業務の自動化です。業務フローに変更があった場合には人間の手によるシナリオ変更が必要ですが、シナリオさえ整っていればロボットは休むことなく人間の求める仕事を続けられます。

ロボットに理解させるためのシナリオ作成については、一昔前まで、プログラミング作業が必要でした。しかし近年のRPAは、プログラムを書かなくても、人間が行うキーボードやマウスの操作を自動で認識し、実行できるようになりました。この自動認識による業務の自動化は、シナリオ作成とRPA導入のハードルを大きく下げたと言えるでしょう。

RPAの3つのクラス

業務の自動化を担うRPAですが、その自動化レベルは3つのクラスに分けられます。基本的な自動化レベルのRPAはクラス1で、自動化レベルが高度になるにつれ、クラス2、クラス3とクラスが上がっていきます。

RPAはクラスによってできる作業が異なるため、RPA導入時には業務内容に合ったクラスのRPA選定が必要でしょう。RPAの詳しいクラス分類は、下表をご確認ください。

クラス1 RPA(Robotic Process Automation) 定型業務の自動化
クラス2 EPA(Enhanced Process Automation) RPAとAI技術による、一部非定型業務の自動化
クラス3 CA(Cognitive Automation) 意思決定まで可能にする、高度な自立化

クラス1のRPAは、情報取得や入力などの基本的な定型作業を自動化できます。クラス2ではAI技術の融合によって、より高度な非定型業務の自動化が可能になります。そしてクラス3では、さらに高度なAIとの連携によりRPA自らの意識決定が可能になり、より高度で幅広い業務の自動化が叶います。
業務効率化が重要視される現代において、特にクラス3のRPAは企業の働き方改革を担う一手として注目されています。

RPAとAIの違い

業務効率化や自動化においてRPAとAIは混同されやすいですが、これらは異なる技術です。それぞれの定義を再認識するとともに、違いを比較してみましょう。

RPAとは
ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)。これまで人間が行っていた作業をロボットが代替して行う業務の自動化。
AIとは
人工知能(Artificial Intelligence)。人口的に作られた人間と同様の知能を持つシステム。

RPAはロボットを使った業務の自動化を、AIは人工知能を指す言葉であり、これらは全くの別物です。

特に大きな違いを挙げるとするならば、自ら判断できるかどうかという点でしょう。RPAは人間がシナリオを書いた通りの動きしか行えないのに対し、AIは自身で学習し自身で判断を下します。
RPAとAIは連携により、さらなる性能や利便性アップが期待され、これらが連携されたRPAはクラス2、クラス3のシステムとして、高度な業務を担っています。

RPAの導入メリット

RPAの導入には、以下のようなメリットを期待できます。

メリット1 業務効率化

RPAは、シナリオさえ整備しておけば、人間の手作業よりも速くて正確な、無駄のない作業を行います。また、人力と異なり、24時間365日稼働させることも可能です。
このように、RPAは人力のデメリットを埋め、業務の効率を向上させます。

メリット2 業務品質の均一化

RPAが行う作業は、人間のように、モチベーションや体調、考え方の違いなどによって、その質が左右されるようなことはありません。いつでも決められた作業を決められた品質で行います。
RPAを用い、このような業務品質の均一化を高いレベルで行えば、企業の信頼性は高まります。

メリット3 労働環境の改善

RPAの導入は、人員削減に効果的です。RPAが仕事の一部を担うことでそれまでの過剰労働が改善されれば、早く帰宅できるようになったり、仕事に余裕が生まれたりと、社員の負担は軽減されるでしょう。RPAの優れた労働力は、労働環境改善にも繋がります。

メリット4 コスト削減

RPAの導入にはコストがかかります。しかし、長期的な人件費と比較すれば、RPAの導入コストは費用対効果が見込めます。それだけ人件費は大きなコストとなるのです。無駄なコストを削減し、必要な部分にコストをかけられるようになる点も、RPA導入のメリットです。

RPAが得意な業務

RPAの得意な業務としては、「定型作業」や「データ収集・分析」が挙げられます。

定型作業
決まったルールに沿って繰り返す作業のこと。経理業務や人事管理、在庫管理など。
データ収集・分析
膨大なデータを収集・分析し、必要なデータをアウトプットする。マーケティングなど。

また、RPAはカスタマーサポート業務などにも対応し、必要な情報提示や入力を行って、オペレーターをサポートすることもできます。

RPAができる業務は、前述のクラスによって異なります。基本的にRPAは判断を伴う作業に向きません。しかし、クラス2、3のより高度なRPAを導入すれば、AIによる学習能力で判断業務をRPAに任せることも可能になるでしょう。
現状、RPAは上記のような「定型作業」や「データ収集・分析」といったルールの決まった単純作業に用いられるケースが多いですが、今後その活躍の幅は広がっていくでしょう。

RPAを導入するための流れ

RPAの導入は、以下のような流れで行います。

①業務の洗い出しと課題の把握

RPAの導入にあたっては、まず現在行っている業務を洗い出すことから始めます。そこから属人化している業務や効率の悪い業務など、課題を洗い出し、把握していきます。

②RPAを導入する業務選定

次に、RPAの導入により課題の改善・解決が期待できる業務を選定していきます。定型作業や判断を伴わない作業などに適しているというRPAの特性を踏まえ、対象の業務に対しRPA導入でどのような効果が得られるか、具体的に検討していきます。

③RPAツールの選定

RPAツールは多数の企業からリリースされ、機能や特徴はさまざまです。選定の際には、各ツールの機能や特徴をよく比較し、自社の課題改善に最適なものを選ぶようにしましょう。また、コスト面にも注目してください。

④検証

ここからは、実際にRPAを用いた検証に入っていきます。RPAツールを用いてロボットを試作し、実際に動かすことで、課題改善効果を測ります。
本格導入する前にこの手順を挟むことで、導入後の実際の効果と予測した効果の差を最小限にすることが可能です。

⑤運用体制の構築

RPAは導入して終わりではなく、導入後には必要に応じてシナリオの書き替えを行ったり、トラブルを解消したりと、運用を行う必要があります。円滑な運用のため、担当者やその担当内容を決め、あらかじめ運用体制を構築しておきます。

⑥導入と運用

ここからは、実際の業務へのRPAの導入に入ります。まずはスモールスタートで様子を見ながら、導入と運用を進めていきます。

RPAの導入事例

A社の導入事例

損害保険大手のA社は、紙の書類と人の手作業という古くからのビジネスモデルを続けていました。しかし、災害が頻発する日本において損害保険業務は非常に多く、このままのビジネスモデルを継続することは困難だと判断し、デジタルシフトを決意しました。

そこから、幅広い業務に100台以上のRPAを導入しました。事故受付や保険金支払いなど膨大な業務を自動化し、業務は大幅にスピード化されました。
災害時において保険会社の素早い対応は重要です。RPAは膨大な数の事務作業のスピーディーな処理を可能にし、災害で業務が集中しても対応できる体制を叶えました。結果、A社の顧客満足度は向上し、従業員の負担も軽減したのです。

B社の導入事例

コンビニ大手のB社は、人手不足対策として、店舗におけるセルフレジや無人化などに取り組んできました。しかし、16,000店を超える店舗数の多さは、店舗だけでなく本部の業務も逼迫させていました。全店舗の膨大なデータの集計・分析・加工には多大な時間を要し、担当者の負担が増えていました。

そこで、RPAを導入し、データ処理などの定型作業の多くが自動化できるようになりました。
これにより、本部の業務量は削減され、作業品質が向上し、ヒューマンエラーは減少、従業員の負担が軽減されました。
同社は今後もさまざまな面でRPA導入を進めていく意向でいます。

まとめ

RPAの導入は今後急速に進み、その技術も進化していくと予想されます。それに従い、ビジネスのあり方は大きく変わっていくでしょう。
ただし、RPAを効果的に活用できるかどうかは、課題の正確な把握とツール選定、検証に大きく左右されます。これらの手順は慎重に行い、RPA導入による最大利益を追求しましょう。

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