ホワイトペーパーは、BtoBマーケティングに有効な手段のひとつです。実際に、ホワイトペーパーを作成する企業は、近年増加傾向にあります。では、このホワイトペーパーにはどんな具体的メリットがあり、どのように作成すれば良いのでしょうか。
今回は、ホワイトペーパーの概要やメリット、作成・活用方法についてご紹介します。
ホワイトペーパーとは
ホワイトペーパーとは、ターゲット顧客に対して役立つ情報を提供する、企業のWeb上の資料のことです。自社商品やサービスの紹介、導入事例など、顧客にとって有益な情報をWeb上で配信することで、ターゲット顧客の抱える課題や疑問の解決を促すホワイトペーパーは、顧客による商品やサービスの購買決定において、重要な役割を果たしています。
ホワイトペーパーとは、本来は白書(whitepaper)の意味を持つ英単語ですが、近年ではマーケティング用語として、上記のような意味で使われることが多くなりました。
ホワイトペーパーは、主にBtoB(法人向けビジネス)分野で活用され、リード獲得(見込み顧客の獲得)やWebサイトの集客に役立つコンテンツとして注目されています。
ホワイトペーパーと営業資料の違い
自社商品やサービスについて説明する資料という点で、ホワイトペーパーと営業資料は混同されがちですが、これらは異なるものです。
ホワイトペーパーと営業資料には、以下のような違いがあります。
ホワイトペーパー | 営業資料 | |
目的 | 顧客の抱える課題や問題を解決すること | 顧客に自社商品やサービスの導入メリットや魅力を伝えること |
視点 | 顧客側の視点 | 企業側の視点 |
内容 | 顧客の課題に対する解決策 | 商品やサービスの概要 機能 特徴 価格 |
ターゲット | ホワイトペーパーのテーマに興味がある人(自社商品・サービスに興味がない人、購入を検討していない人含む) | 既に自社商品・サービスに興味を持っている人、購入を検討している人 |
このように、ホワイトペーパーと営業資料は、目的も内容も異なります。
営業活動やマーケティング活動においては、それぞれの目的や内容、ターゲットを踏まえた上で、ホワイトペーパーと営業資料を効果的に使い分けることが大切です。
ホワイトペーパーを作成するメリット
ホワイトペーパーを作成することで得られる3つのメリットについて見ていきましょう。
メリット1 リード情報を取得できる
ホワイトペーパーのダウンロードには、多くの場合、顧客の個人情報の入力を求めます。企業はホワイトペーパーの情報と引き換えにリード(見込み顧客)の個人情報を得られ、その後のアプローチを続けることができます。
メリット2 リードの育成が可能
ホワイトペーパーは、リードの育成(リードナーチャリング)にも役立ちます。ホワイトペーパーで情報を提供することで、顧客の企業に対する理解や知識を深めることができるためです。企業に対する理解や知識が深まれば、その顧客と企業の関係は強化されていきます。
現状商品やサービスに興味がない人をリードとして育成するのにも、ホワイトペーパーは有効です。
メリット3 顧客満足度向上に繋がる
ホワイトペーパーは、顧客の課題解決を目的とした資料です。ホワイトペーパーによって、抱える課題や問題を速やかに解決できたり最新情報を手に入れたりすることは、顧客のニーズ充足に繋がります。顧客のニーズを満たすことができれば、当然顧客満足度は高まります。
ホワイトペーパーの作成で最初に取り掛かること
ホワイトペーパーの作成でまず取り掛かるべきポイントをご紹介します。
1 課題の決定
ホワイトペーパーの作成にあたって、まずは取り扱う課題やテーマを決定します。
顧客からよく聞かれることや失敗例などといった現場の声、マーケティングデータをもとにしながら、課題を明確で具体的に挙げることが大切です。
2 目標を設定
ホワイトペーパーを読むことによって「顧客に期待すること」、つまり目標を設定します。例えば、「ホワイトペーパーを読んで情報を得た顧客に、自社ソリューションの検討・選定へと駒を進めてもらう」などです。
顧客にどのように感じてもらい、その後どんな行動を取ってもらうかという目標は、ホワイトペーパーの方向性を決める重要な要素です。
3 ターゲット設定
主に企業向けビジネスに用いられるホワイトペーパーの作成時には、「企業の中の誰にダウンロードしてもらうか」というターゲット像を明確に設定しておく必要があります。設定したターゲットにマッチした内容で作成することによって、より効果の高いホワイトペーパーが完成します。
4 構成案作成
1〜3をもとに、ホワイトペーパーの構成案を作成します。
課題解決型のホワイトペーパーの場合、【①課題の提示②課題の分析③課題の解決④自社商品やサービスの紹介】という流れで構成を組まれるのが一般的でしょう。
構成が完成したら、具体的な内容作成に入っていきます。
ホワイトペーパーの構成
一般的なホワイトペーパーは、以下のような構成で作成されます。
- 表紙
- タイトルを示す。読みたくなるようなタイトル付けが大切です。
- 目的
- 読むことで何を得られるか、目的を明確に示す。
- 目次
- 内容の目次を示す。表紙、目的、目次まではダウンロード前でも確認できるようにしておくことが多い。
- 内容
- 課題解決のための具体的内容。【①課題の提示②課題の分析③課題の解決④自社商品やサービスの紹介】の流れが一般的。
- 会社概要
- 会社名、代表者名、住所、電話番号、創立年月日、事業内容等、会社の基本情報。
- 問い合わせ先
- 対応部署、電話番号、メールアドレス、WebサイトURL等。著者紹介をプラスしても良い。
ホワイトペーパーの作成の際にやってはならないこと
ホワイトペーパー作成の際に気をつけたい2つのポイントをご紹介します。
1 専門用語や難しい表現を使わない
ホワイトペーパーの内容に、専門用語や難しい表現を使うのはおすすめできません。顧客の中には、その分野に詳しくない人も多いからです。
課題解決のために利用したホワイトペーパーの中身がわかりにくい内容では、顧客の課題は解決せずリード育成にも繋がりません。
ホワイトペーパーの内容は誰にでも理解できるわかりやすいものにすることが重要です。
2 自社商品やサービスのセールスを目的にしない
ホワイトペーパーの目的は、顧客の課題を解決することであり、自社商品やサービスをセールスすることではありません。セールスをサポートするのは営業資料の役割。
ホワイトペーパーの中で無闇に自社商品やサービスを押し売りしてしまっては、ホワイトペーパーならではのメリットは得られないでしょう。
ホワイトペーパー作成時には、そもそもの目的を失念しないよう気をつけてください。
ホワイトペーパーの作成を外注するかどうかの判断基準
ホワイトペーパーを外注で作成する企業も少なくはありません。ホワイトペーパーの作成を外注するかどうかの判断基準としては、以下の3点が挙げられます。
②情報発信を行うための専門知識やスキルがあるか
③外注コストを確保できるか
ホワイトペーパーの作成には、労力と時間がかかります。より有効な情報発信を行うための専門知識や元になる資料も必要でしょう。
十分なリソース(ヒト・カネ・モノ・時間・情報等)およびスキルがなければ、上質なホワイトペーパーの作成は行えません。
自社でリソースやスキルが確保できない場合、ホワイトペーパー作成を専門のノウハウを持った会社へ外注するというのは、有益な手段です。
ただし、コストの調整や外注先との方向性共有の可否などは、事前に確認しておく必要があります。
ホワイトペーパーの作成のリソース・資金がない場合
十分なリソースや資金がない場合におけるホワイトペーパー作成の手段として、「既存資料を活用する」という方法があります。
既存の営業資料や今まで自社サイトで情報発信してきた記事をホワイトペーパーの情報リソースとして利用し、顧客目線での切り口に書き変えるという方法なら、十分なリソースや外注資金がなくても、ホワイトペーパーを作ることができます。既存資料を活用する方法では、一からコンテンツを作成するよりも大幅に時間や労力、コストをカットできるでしょう。
ホワイトペーパーの活用方法
ホワイトペーパーの主な活用としては、「自社のWebサイトでの公開」「他媒体に掲載」「営業ツールに活用」という3つの方法があります。
方法1 自社のWebサイトでの公開
自社のWebサイトにホワイトペーパーを掲載し、顧客が情報入力後ダウンロードするという手法は、もっとも一般的でコストや手間がかかりません。
メルマガやSNS、広告などを用いて、Webサイトへのアクセス数やホワイトペーパーダウンロード数を上げるための取り組みを行えば、ホワイトペーパーによる効果を高めることができます。
方法2 他媒体に掲載
企業のコンテンツを集めて公開している他媒体を利用するのも、ホワイトペーパー活用方法のひとつです。他媒体を利用すれば、より広いターゲットに対し情報を発信することができ、リードの幅も広げられます。
方法3 営業ツールに活用
営業活動や展示会、セミナーなどの営業ツールとしても、ホワイトペーパーは活用できます。
ホワイトペーパーは営業資料の補足的役割を果たし、相手顧客の理解や満足度向上に役立ちます。
まとめ
ホワイトペーパーは、リードを増やすだけでなく、その後の成約の可能性を高めるためにも有効な手段です。上質なホワイトペーパーが公開されていれば、それだけで企業のファンを増やすことができるのです。
また、より効果的にホワイトペーパーを活用するには、セールスイネーブルメントツールの活用が便利です。
セールスイネーブルメントツールを用いれば、ホワイトペーパーをはじめとした資料管理や顧客への送付が簡単に行え、その後のトラッキングも可能になります。ホワイトペーパーを有効活用しながら、ひとりひとりの顧客に最適なアプローチを行えます。
ホワイトペーパー作成時には、その活用方法としてツール導入も検討すると良いでしょう。