3分でわかる社内規定とは?|効果とメリット、作成ポイント、運用の注意点を解説

会社に勤めている方なら、「就業規則」を目にしたことがある方は多いと思います。では、「社内規定」はどうでしょうか。「社内規定」と聞いても何を指すのかピンとこない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、社内規定とは何なのか、何のために必要なのか確認し、作成時のポイントを確認していきましょう。

目次

社内規定とは

「規程」とは、特定のものごとについて定められた決まりの単位のことです。
「社内規定」とは、会社が独自で定めた数々の決まりの全体を指し、社内規定の中に「人事考課規程」や「賃金規程」といった細かい決まりが定められています。なお、会社が定めた業務マニュアルなども、規程の一つと言えます。

社内規定は、社内の秩序を統制する目的で作成されるもので、組織体制や会社の文化形成のために重要な意味を持ちます。
また、社内規定は社内で周知をしておけば労使間での合意がなくても規程を作成することができ、社内規定に従わなかった場合は法的規制に触れない範囲で会社がペナルティを設定することもできます。

社内規定に含まれる内容

では、社内規定には どういった内容が含まれるのでしょうか。

社内規定は主に次の6種類に分類されます。

・会社運営の根幹となる規程
・人事規程
・組織規程
・業務規程
・総務規程
・その他

それぞれどういった規程が含まれるのか代表的なものを確認していきましょう。

会社運営の根幹となる規程
・会社理念(会社の根本的な考え方。価値観や存在意義。)
・経営理念(経営を行う上で大切にしている思いや考え方。創業者が定める事が多い。)
・社訓(社員に向けた教訓。行動指針。)
・株主総会議事録(株主総会決議の内容や成立過程を記した重要書類。)【取締役設置会社の場合】
・取締役会規程(取締役会の決議事項や報告事項など、取締役会運営の為の規程。)
・取締役会議事録(取締役会決議の内容や成立過程を記した重要書類。)
組織規程
・倫理規程(社会や環境に対する会社の行動基準を定めた規程。)
・組織規程(会社の業務構造や職位、職務権限といった組織運営について定めた規程。 )
・職務分掌規程(部署や役職ごとの業務範囲を明確に定めた規程。)
・役員規程(役員の任免、処遇、勤務条件など役員に関する事項を定めた規程。)
人事規程
・就業規則(従業員の給与や労働時間などの労働条件、遵守すべきルールなどを定めた規程。)
※常時10人以上の労働者を使用する場合に作成することが義務づけられている。
・賃金規程(給与計算の方法や諸手当の明細などを明確に定めた規程。)
・賞与規程(支給基準や算定期間などについて定めた規程。)
・退職金支給規程(適用する範囲、計算方法や支払い方法などについて定めた規程。)
・出張旅費規程(出張に関する旅費(出張手当、交通費、宿泊費など)などの取扱規程。)
・人事考課規程(公正に人事考課を行うための評価について定めた規程。)
業務規程
・販売規程(営業時間や見積・販売・請求など各種条件、対応方法などを定めた規程。)
・購買規程(仕入れの際の見積・発注・仕入方法や条件、支払い条件などを定めた規程。)
・経理規程(経理業務に関する基本的な考え方や処理方法などを定めた規程。)
総務規程
・株主取扱規程(会社の株式の取得や変更、再発行などの手続について定めた規程。)
・文書管理規程(日常業務で発生する文書の取扱や管理方法を定めた規程。)
・規程管理規程(規程作成後の周知徹底、制定・改廃などの手続を定めた規程。)
その他
・個人情報管理規程
・ハラスメント防止規程
・SNS利用規程
・秘密情報管理規程

社内規定と就業規則との違い

前述したように「就業規則」は「従業員の給与や労働時間などの労働条件、遵守すべきルールなどを定めた規程」であり、社内規定の一部です。

しかし、就業規則については、労働基準法によって、常時10人以上の従業員を雇う場合には作成が義務づけられており、行政官庁(労働基準監督署)への届け出や社内への周知も義務づけられています。他の社内規定には、このような義務はありません。

さらに、社内規定は労使間での合意がなくても作成できるものですが、就業規則は労使間の合意が必要になります。

以上のことから、就業規則は社内規定の一部に位置づけられるものですが、特殊性があることから他の社内規定とは区別して考えられることが多くなっています。

社内規定の作成の流れ

では次に、社内規定の作り方を確認していきましょう。

1.既存の規定を集めておく
すでに制定している規程やルール、マニュアルなどを集めておきましょう。

2.既存の規定を分類する
集めた既存の規定などを関連するものでグループにし、分類します。

3.制定する内容を精査する
社内規定として制定する内容は会社によって異なります。
既存の規定なども参考に、自社にとって本当に必要な内容なのかをしっかりと検討しておく必要があります。
そのうえで、新設する規定、変更する規定など規程として制定するものを精査していきます。

4.規定の草案を作成する
関係する部署があれば、適宜確認をして草案の作成を進めましょう。

5.専門家に規定内容をチェックしてもらう
労使間の合意なく、会社側が一方的に決められるからといって法律に違反するような内容ではいけません。
また、設定しなければならない重要な内容を盛り込まなかった場合は逆に会社側のリスクになる可能性もあります。
規程内容を周知する前に1度弁護士などの専門家に確認してもらうことがベターです。

6.周知徹底する
社内規定を作成しても「従業員がその内容を知らない」では意味がありません。
就業規則のように周知が義務づけられているわけではありませんが、従業員全員がその内容を知ることができるように周知し、内容を更新した場合は必ず通知を行うことを徹底しましょう。

社内規定を作成する際の注意点

最後に、社内規定を作成する際の注意点を確認しておきましょう。

1.整合性があり、法律に反しない

会社が大きくなればなるほど社内規定は増えていきますが、規程を増やした場合に他の規程と整合性が取れていなければなりません。
これまでの規程と整合性が取れなくなっていないかを必ず確認しておきましょう。
また、前述したとおり法律に違反する内容とならないようにしなければなりません。

2.従業員に周知する

繰り返しになりますが、周知することは重要です。
すぐに見ることができるように、社内のインターネットなどを利用して検索すればすぐに確認できるようにする、更新されたら全従業員にメールなどで通知するなどの工夫をすると良いでしょう。

3.定期的な見直しを行う

業務内容に変更があった場合や、時勢に合った内容に変更する場合など、規程は常により良く新しい状態にしておかなければなりません。
しかし、日々の業務などに追われて後回しにしたり、別に変更しなくても仕事ができるからなど放置されることは少なくありません。
そのため、あらかじめ「半期ごとに見直し期間を設ける」「毎年1月の最終週に見直しをする」といったスケジューリングをしておきましょう。

まとめ

社内規定が会社にとって重要な意味を持つことがよくわかりました。
作成する場合は法律に抵触しないようにするなど一定のルールを守り、作成後は従業員に周知徹底すること、定期的な見直しをすることを忘れないようにしましょう。

また、社内規定を周知するには、情報共有ツールの利用が便利です。ツールを利用すれば、検索や閲覧が容易になり、更新した場合の通知もできるようになります。社内規定の制定や見直しと併せて、周知が簡単になるツールの利用も併せて検討すると良いでしょう。

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