高齢者雇用とは?ポイントや助成金、メリット・デメリットを解説

少子高齢化が進む日本では年々労働者人口が不足し人手不足に苦しむ企業が増えています。そんな中、2020年3月に改正高年齢者雇用安定法が成立したことで、70歳までの就業確保が規定されました。今は高齢者雇用を進めるために高齢者が働きやすい環境を整えるべきだという考えが定着し、生涯現役社会の実現に向けて社会全体が進み始めているのです。

この記事では高齢者雇用についてのメリット・デメリットや高齢者雇用を進める企業が受けられる助成金について説明しましょう。高齢者雇用について検討しているのなら、ぜひ参考にしてください。

目次

高齢者雇用の現状

高齢者雇用が進み始めた今、実際にはどのくらいの高齢者が企業に勤めているのでしょうか?現在の高齢者雇用の状況についてお伝えします。

高齢者雇用は年々増加している

総務省が発表している労働力調査では、2009年には565万人だった65歳以上の労働者は、2018年には300万人増えて862万人になりました。同様に、全体の労働者に対する割合も増加しています。

また、現段階で60歳未満の方の多くが「60歳を過ぎても仕事がしたい」と考えているようです。

7割以上の会社で65歳以上の雇用を用意している

高齢になってからも仕事がしたいと考える人が増える中で、企業の方でも定年制度の見直しや高齢者雇用確保措置の導入が進んでおり、希望すれば65歳を過ぎても勤務を続けられる体制が整えられている企業の割合は現段階で7割以上にもなります。

高齢者雇用の課題

高齢者雇用には課題もあり、高齢者が抱える体力面の不安を解消させられるようフレックスタイム制・短時間勤務などの柔軟な働き方を用意する必要があります。

また今までの業務で得たスキルやノウハウを生かしたいと考える高齢者が多い中、企業が求める人材と噛み合わないミスマッチが発生しやすいようです。

高齢者を雇用するメリット・デメリット

高齢者雇用を行うことによって企業は人手不足を解消出来る可能性がありますが、高齢者雇用にはメリットだけでなくデメリットも存在します。ここからは高齢者雇用のメリットとデメリットについて説明しましょう。

高齢者雇用のメリット

まずは高齢者を雇用するメリットを説明したいと思います。

【人手不足の解消】
少子高齢化に歯止めがかからず労働力が減少し続けている日本では、高齢者雇用を進めることで人手不足の解消が期待出来ます。

また、今までにないタイプの人材を雇用することになりますので、新しいアイデアを手に入れられることもあるでしょう。職場が多様化し企業の社会的信用の向上につながる可能性も考えられます。

【職場の活性化】
高齢になっても「仕事がしたい」という意思がある方の多くは業務に積極的で、一緒に働く社員のモチベーションの向上が期待出来ます。

高齢者ならではの視点や考えを企業の経営に反映させることも可能でしょう。

【優れた経験や多様な人脈の活用】
優れた経験を持ち多様な人脈のある高齢者を雇用すれば、多くのノウハウや今まで見出すことが難しかった販路を開拓出来ることもあります。

そのスキルやノウハウを若い社員たちに引き継ぎ、組織全体の資産になる可能性もあるのです。

高齢者雇用のデメリット

次に高齢者雇用のデメリットについてお伝えしましょう。

【ITへの対応の難しさ】
高齢者の中にはアナログ派な方も多く、新しい技術に対して抵抗を感じる方もいます。業務内容によってはシステムへの対応が難しく、限られた部署での業務しか任せらないこともあるでしょう。

【費用対効果の問題】
高齢者はどうしても若手社員に比べて活躍の場が少なくなるものです。高齢者雇用を既存の評価システムで実施すると、若手社員よりも高齢者の方が高い給与を受け取ることになってしいますので、費用対効果のバランスが崩れてしまうおそれがあります。

【雇用者によっては職場に馴染めない】
今までキャリアを積み重ねてきた高齢者の中には柔軟な考えを持てず、その結果職場に馴染めない方もいます。高齢者の能力が発揮出来る業務を任せられるようにしてください。

【体力への不安】
高齢者はどうしても体力や体調が若い世代と同じというわけにはいきません。歳を重ねれば誰もが健康面に多少のリスクを抱えるものです。高齢者雇用をするのなら、業務の負担にも留意する必要があるでしょう。

高齢者の雇用に関する助成金

一定の条件を満たして65歳以上の高齢者を雇用する場合には厚生労働省が定めた「65歳超雇用推進助成金」を受け取ることが出来ます。助成金にはいくつかの種類がありますので、一つずつ説明していきましょう。

65歳超継続雇用促進コース

定年を65歳以上に引き上げる・定年の廃止・希望者全員を対象とした継続雇用制度の導入時に支給される助成金で、支給額は定年の引き上げ幅や雇用保険保険者数によって変わります。

【65歳超継続雇用促進コースの支給額の例】
60歳以上の被保険者数1~2名:66歳に引き上げ10万円〜・66歳以上に引き上げ15万円〜・定年廃止20万円
60歳以上の被保険者数10名以上:66歳に引き上げ30万円〜・66歳以上に引き上げ35万円〜・定年廃止160万円

高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

高齢労働者の人事処遇制度・評価システム・賃金・勤務形態などを改善し、高齢労働者が働きやすい環境を整えた企業に支給される助成金です。支給額は雇用管理制度などを整える際にかかった経費に助成率を乗じた額になります。

【高年齢評価制度等雇用管理改善コースの支給額の例】
生産性要件を満たした場合:中小企業75%・中小企業以外60%
生産性要件を満たしていない場合:中小企業60%・中小企業以外45%

高年齢者無期雇用転換コース

50歳以上で定年年齢未満の有期契約労働者を、無期雇用に転換した場合に支給される助成金です。

【高年齢者無期雇用転換コースの支給額の例】
労働者1人:中小企業48万円〜・中小企業以外38万円〜

高齢者の雇用を進めていくには

 

高齢者雇用を進めるためにはいくつか知っておくべきポイントがあり、それらのポイントを理解していなければ高齢者雇用のメリットを感じにくくなってしまいます。ここからは高齢者雇用をスムーズに進めるためのポイントを紹介しましょう。

高齢者が働きやすい環境を整える

高齢者に無理をさせず体調に合わせた働き方が選べるように、フレックス制や短時間勤務などの多様な働き方を準備します。フレキシブルな勤務時間制度があれば子育て中の女性などにも働きやすい環境が整えられるでしょう。

スキルやノウハウを活用出来る業務を用意する

今まで多くの経験を培っている高齢者の多くは、定年後もそのスキルやノウハウを活用したいと考えています。一人一人の能力が発揮でき、評価されやすい環境で業務が出来るような人員配置を行うべきでしょう。

作業内容や施設の改善

体力や判断力が低下しやすい高齢者が問題なく業務を進めるために、少ない労力で業務が遂行可能になるように施設や作業内容自体を改善します。業務の効率化が進められれば、他の社員にも多くのメリットがあるでしょう。

まとめ

高齢者雇用の現状からメリット・デメリットと、高齢者雇用によって受けられる助成金について説明いたしました。

高齢者雇用を進めるためには事前に十分な準備が必要です。この記事で紹介した内容を参考に、人手不足の解消のためにも高齢者雇用について検討してみましょう。

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