新人教育の上手な会社、失敗する会社とは|教え方のポイント

会社の将来を担う新入社員の教育は、多くの会社が抱える課題のひとつです。いくら優秀な人材を採用しても、教育方法が間違っていれば、人材は育ちません。では、新人教育を成功させるためには、どのような方法を取れば良いのでしょうか。今回は、新人教育が上手な会社・上司が実践する教育方法や失敗例をご紹介します。

目次

新人教育が上手な会社が実践している教え方5ステップ

新人教育が上手な会社では、コツを踏まえた教え方で新人教育を行なっています。
ここでは、新人教育成功のコツとなる5つのステップをご紹介します。5つのステップを繰り返すことで新人教育は進み、新入社員に対し、実務面でも精神面でも成長を期待できるでしょう。

①仕事の全体像、目的を伝える

新人教育においては、まず初歩的な作業から順に教えていくことになります。
そこで大切なのが、作業だけでなく、仕事の全体像や目的も教えることです。「この作業は業務のどの部分にあたるのか」「この作業によって何ができるのか」を作業内容とともに教える必要があります。

全体像や目的がわからないまま作業内容だけを教えてしまっては、新入社員は「何のためにこの作業をやっているのか」わかりません。作業の意味を把握できないまま業務を進めていると、作業の方向性がズレてしまったり、新入社員のモチベーションが下がってしまったりする可能性があります。新入社員に仕事へのやりがいを教えるためにも、教える作業の属する業務の全体像や作業する目的について、しっかりと伝えるようにしましょう。

②実際にやってみせる

新人に仕事を教える時には、実際にやってみせることも大切です。
行う作業について、口頭や文字だけで説明されても、その作業をしたことがない相手は具体的なイメージを持つことができません。イメージが十分でないまま作業を開始してしまうと、当然ミスやトラブルが起こり、新入社員は不安を抱えてしまいます。

まずは、実際の作業の様子を見せて新入社員に具体的なイメージを持たせ、そこから詳しい説明に入るというのが、作業を理解させる方法としては効率的です。教える作業の前後作業についても見せておけば、より作業に対する理解は深まるでしょう。

③内容を詳しく説明する

教える作業を実際にやってみせたら、作業の内容を説明していきます。細かい手順やポイント、注意点など、作業を行う上で必要な情報を詳しく教えましょう。
この時、教えたことを全てメモさせるのは、非効率的です。かといって、教えたことが文字として残せなければ、作業内容の復習が難しくなります。

そこで用意しておきたいのが、作業内容のマニュアルです。マニュアルを渡し、その内容を踏まえて説明を行えば、新入社員はマニュアル用紙にプラスアルファのメモを取るだけで済みます。
また、教育担当者側としても、マニュアルに沿って説明を進めることにより、説明すべき内容の漏れや抜けを防ぐことができます。

④本人にやらせる

新入社員本人に、教えた作業をやらせるのが次のステップです。
ここまでのステップを踏まえ、新入社員には作業のイメージと知識が付いているはずです。イメージや知識が薄れないうちに、実際に作業を経験してもらいましょう。
ただし、いきなり任せっぱなしにするのはNGです。初めての作業時には、新入社員が正しく業務をできているか、また質問はないか確認し、問題なければそのまま進めてもらうようにします。

また、仕事内容が顧客対応の場合は、実戦訓練ができません。代わりとして、教えた内容を逆に新入社員に説明してもらうと良いでしょう。そうすることで、教えた内容が定着しやすくなります。

⑤フィードバックを行う

フィードバックは、新入社員の成長に繋がります。
フィードバックで気をつけたいのが、注意や否定ばかりをしないことです。人材育成においては、ポジティブな内容とネガティブな内容が3:1の割合のフィードバックが理想だとも言われています。
良い部分はきちんと褒めながら、気をつけて欲しい部分も的確に伝えるようにしましょう。

また、「新入社員に気をつけて欲しい部分」は、初めて作業をする人が間違いやすい部分でもあります。このような点はマニュアルに注意事項として追加することも検討すると良いでしょう。

新人教育が上手な上司が実践している教え方のポイント

新人の部下を上司としてうまく育成するには、以下の5つのポイントを押さえておくことが効果的です。

ポイント1 5W1Hを意識する

新人教育で新入社員の理解を深めるには、5W1Hを意識した伝え方が有効です。

5W1Hとは
・When:いつ
・Where:どこで
・Who:だれが
・What:何を
・Why:なぜ
・How:どのように

教える内容に5W1Hを入れ込むことで、内容はわかりやすくなり、理解度が上がります。

ポイント2 業務内容を具体的に教える

新人に業務内容を教える時には、具体的に、そして明確な表現で教えることが大切です。「適当に」「いい感じに」などといった感覚的で曖昧な表現は、教育には向きません。感覚は人によって異なるためです。
仕事を問題なくこなせるスキルを持たせるためにも、教え方は具体的でなければなりません。数字を使ったり例を挙げたりすることで、教育の具体性は向上させられるでしょう。

ポイント3 新人社員のビジョンや現状スキルを把握する

上司として、部下である新人社員のビジョンを把握しておくことは、新人教育において重要なことです。新入社員の中には、やりたい仕事をさせてもらえずモチベーションが下がっている社員もいるでしょう。新入社員の希望するビジョンを知っておけば、ビジョン達成に向けてともに考えたりアドバイスしたりと、上司としてフォローを行うことができます。
また、新入社員の現状のスキルを把握しておくことで、その社員に適した仕事を割り当てることも可能になります。

ポイント4 適度なコミュニケーションと理解

上司と部下としてうまく仕事を進めるには、お互いを理解し信頼を深めることが大切です。上司への信頼がなければ、部下はトラブル発生時に上司へ相談できず、トラブルへの早期対応ができない恐れがあります。
信頼してもらえる上司になるために、日々のコミュニケーションは必須です。ただし、距離が近すぎると逆効果になることもあるため、適度なコミュニケーションを心がけましょう。

ポイント5 職場環境を整える

職場の心理的安全性を高め、働きやすい環境を作るのも、人材育成における上司の役割です。

心理的安全性とは
組織のメンバーに非難される、否定されるという不安を感じることなく、自分の意見を自由に発言できる状態のこと。

心理的安全性が確保されていない職場では、新入社員はもちろん、他の社員も生き生きと働くことはできません。職場の雰囲気は悪くなり、モチベーションや生産性も下がってしまうでしょう。
逆に、心理的安全性が確保された職場では、それぞれの社員が自分のスキルを生かして働くことができ、人材育成もスムーズに進みます。

失敗する新人教育の教え方

気をつけておきたい新人教育の失敗しやすい教え方を5つご紹介します。

1 きちんと業務のやり方を教えない

一昔前に多かったのが、「見て覚えて」「わからなかったら聞いて」という業務の教え方です。教わる新入社員の主体性ばかりに頼り、教育担当者自らきちんと業務内容を教えない育成方法は、効率的ではありません。
業務の内容はもちろん、全体像やその目的まで、きちんと教えることが失敗しない教育のポイントです。

2 専門用語ばかりを使う

専門用語や難しい内容ばかりを用いるのも、失敗しやすい教え方の特徴です。専門用語や難しい内容の話は、経験の浅い新入社員には理解できません。わからない言葉の意味を毎回聞くことも、新入社員にとっては気を遣う行為でしょう。
専門用語はなるべく使用せず、難しい内容は易しい言葉に置き換えて説明すること、またどうしても専門用語を使わなければならない場合にはその意味をきちんと説明することが、失敗しない教育に繋がります。

3 むやみに新入社員を否定する

新入社員に、失敗はつきものです。失敗が多いからといって、むやみに新入社員を否定するのはやめましょう。否定ばかりの指摘は、新入社員のモチベーションを下げ、心理的安全性も低下させてしまいます。
失敗に対しては、相手を否定するのではなく、失敗の原因と対処法を共に考えることが大切です。

4 会社の意向のみを考えて仕事を与える

会社の意向のみで新入社員に仕事を与えてしまうのも、あまり良くありません。新入社員自身がやりたい仕事と実際に与えられる仕事に乖離が生まれ、新入社員のモチベーションが下がってしまう可能性があるためです。
また、新入社員のやりたい仕事や将来的なビジョンを、上司が把握しておくことも大切です。そうすることで、新入社員の希望する仕事を与えられない場合でも、上司はフォローを行えます。

5 一貫性のある指示を出さない

指示や判断が曖昧だったり、その時々で変わったりと、上司や教育担当者が一貫性のある対応をできないことも、新人教育にとってはデメリットとなります。曖昧で一貫性のない指示では、新入社員はどのように行動すれば良いか、どの判断に従って良いかわからなくなってしまいます。
指示や判断は一貫性を持つこと、人によって差が出ないようにすることが、効果的な新人教育には必要です。

まとめ

新人教育の成功は、会社の将来を左右する重要なタスクです。時代や技術の変化に伴い、教育方法もより効果的なものへと変化しているので、新人教育には定期的な見直しも必要でしょう。

また、効率的な新人教育にはマニュアルの活用が便利です。マニュアルを整備するなら、オンライン上でマニュアルを確認したり編集したりできる専用ツールの導入がおすすめです。
多くのツールには、マニュアル活用だけでなく、社員間での情報共有やコミュニケーションも促進し、業務効率化や社員のモチベーション向上を叶える機能が含まれています。
e-ラーニング機能が搭載されているツールも多く、この機能は新人教育にも役立つでしょう。

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