eラーニングによる社員教育の特徴や効果、メリット、費用を解説

eラーニングは、従業員のスキルアップのため、多くの企業に取り入れられています。eラーニングをうまく利用すれば、効率的な学習や管理、コスト削減が可能になります。
しかしそのためには、eラーニングのデメリットや導入にあたってのポイントも理解しておかなければなりません。
そこで今回は、eラーニングについて詳しくご紹介しましょう。

目次

eラーニングとは?

まずは、eラーニングとはどのようなものなのか押さえておきましょう。

eラーニングとは
インターネットを用いた学習体系のこと。LMSと呼ばれるネットワーク上の学習管理システムを用い、利用者に学習を提供する。Webラーニング、オンライン学習などとも呼ばれる。
LMSとは
Learning Management Systemの略。つまり、学習管理システムのこと。教材の配信や成績管理などを行うネットワーク上のプラットフォーム。近年ではコミュニティ機能を持つものをも増加している。

eラーニングでは、受講者はパソコンやスマートフォン、タブレットなどからインターネット上のシステムを通じて、あらゆる学習を行うことができます。さらにeラーニングでは、学習を受講者に提供するだけでなく、LMSによる教材や受講者の設定・管理を行えるのも特徴です。具体的には、以下のような項目が挙げられます。

  • 教材の受講順序や公開の設定
  • テストの合否基準の設定
  • 受講者の登録・削除
  • 受講者のグループ管理
  • 受講者ごとの教材割り当て
  • 受講者の学習の進捗・成績管理
  • 受講者の進捗レポート作成
  • 進捗に応じた受講者への連絡

このような管理機能により、管理者側は効率的で正確に、受講者の進捗や成績を把握することができます。

そんなeラーニングの普及は、2000年ごろに遡ります。当時はパソコンを利用したインターネットの普及率が高まりを見せたころであり、時代の先端を行く企業が従業員教育・研修のためにeラーニングを取り入れました。
そこから20年ほどが経った現代では、すっかりインターネットが社会に定着し、多くの人がパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットを持つようになりました。そして、これによりeラーニングも多くの場面で活用されるようになり、企業における従業員学習だけでなく、学校や塾における子どもの学習、大学のカリキュラム、資格取得講座など、eラーニング利用の場は広がりを見せています。

eラーニングのメリット・デメリット

次に、eラーニングの主なメリットとデメリットを挙げてみましょう。

eラーニングのメリット

1. 学習する時間や場所の制限がない

eラーニングでの学習は、インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも行えます。そのため、外出中の空き時間に利用できたり、自宅で復習できたりと時間と場所の融通が効きやすいのは大きなメリットです。
しかし、これによりプライベートの時間に対する仕事のプレッシャーが増す恐れもあるので、その点は管理側の配慮が必要でしょう。

2. 均質的な教育が可能に

講師による教育は、講師によって内容や伝え方が変わるため、どの講師の授業や研修を受けたかによって、教育の質に差が生まれます。
しかしeラーニングでは、多くの人が学んでも、その内容や伝え方に差は生まれません。均質的で正確性の高い平等な教育ができることは、eラーニングの大きなメリットです。

3. 成績や進捗を管理しやすい

eラーニングでは、受講者の学習情報を即座に反映し、データとして見られます。そのため、個々の従業員にとっても管理者にとっても、成績や進捗管理がしやすいという点は、メリットとして挙げられます。
さらに、さまざまな統計が取れるシステムも多く、これは個々の従業員を管理するだけではなく、施策や問題点を洗い出すための総合的なデータとしても扱えます。

eラーニングのデメリット

1. その場で疑問を解決できない

eラーニングは講師による教育と違い、学ぶ側と教える側の間でのコミュニケーションが取りづらいツールです。そのため、学習の中で生じた疑問をすぐに解決できないという点は、eラーニングの持つデメリットとして挙げられます。

2. モチベーション維持が困難

eラーニングは、時間や場所を制限されない学習ツールです。これは大きなメリットですが、時間や場所が自由であり、学習を一人で行うことになるため、集団で受ける研修と比べてモチベーションを維持するのが困難だという一面もあります。
従業員がeラーニングを活用できるかどうか、また企業としてeラーニングを成功させられるかどうかには、従業員の自主性が大きく関わっているのです。よって、従業員のモチベーションを上げる仕組み作りは管理者側にとって必須でしょう。

3. 環境整備が必要

eラーニングを導入するには、システムやサーバーを整備しなければなりません。
また、eラーニングを運用していくためには、個々の従業員がインターネット環境を持っている必要があります。万が一インターネット環境を持っていない従業員がいるのなら、企業側が環境整備する必要があります。
このような環境整備にコストや時間、手間がかかることは、eラーニング導入のデメリットだと言えます。

4. 実技学習に不向き

eラーニングは、知識学習に適したツールです。
その一方で、実技学習には向いていません。実技を実際に行うことが難しく、教える側とのコミュニケーションも取りづらいためです。
スキルアップのための学習は、知識学習と実技学習とで分け、eラーニングと実施研修を柔軟に使い分けると良いでしょう。

集合研修と比較した特徴や課題

近年では、集合研修の代わりにeラーニングによる学習を提供する企業は少なくありません。eラーニングと集合研修の特徴を表で比較してみましょう。

eラーニング 集合研修
時間・場所 いつでもどこでも受講可能 時間と場所が制限される
必要なもの インターネット環境 会場・講師の手配
コスト システム導入後の運用費は比較的安価 毎回、会場費・講師費・交通費がかかる
学習内容 均質的な教育を提供できる
コミュニケーションが困難
基本的には知識学習のみ
いつでも復習が可能
柔軟な対応が可能
講師によって教育の質が変わる
知識学習も実技学習も可能に
研修内容の復習が困難
運用 システムが進捗や成績管理を行うため、運用が楽 管理者が各受講者の進捗や成績管理、スケジュール調整、会場・講師手配を行わなければならない

このように、eラーニングと集合研修を比較すると、それぞれの長所と短所が浮き彫りになります。

インターネットが普及し、手間やコストが軽減されることを鑑みると、eラーニングは企業にとって非常に有益なツールであると言えます。
しかし、その場その場でのコミュニケーションが行えないという点は、集合研修と比較した時のeラーニングの欠点です。

集合研修であれば、学習中に生じた不明点は、講師へ質問することによって解決します。また、参加者同士のディスカッションによって学習内容の理解が深まることもあるでしょう。

一方のeラーニングでは、パソコンやスマートフォンで学習を行うため、速やかな疑問の解決やディスカッションが行えず、学習が一方通行になりがちです。

近年ではコミュニティツールを搭載したeラーニングも増えてきてはいますが、対面のようなスムーズな対応は難しく、この点はまだまだeラーニングの持つ課題だと言えるでしょう。

導入コストについて

eラーニングは大きく「ASP型」「パッケージ型」「自社構築型」という3形態に分けられ、それぞれ導入コストにも違いがあります。

ASP型の導入コスト

ASP型とは、サービス事業者のシステムを基に自社のeラーニングシステムを構築する方法で、コストはもっとも手軽です。
ASP型の初期費用は、20〜30万円ほどが相場です。ただし、運用費用はユーザー数によって変動することが多く、各企業の従業員数によって差があります。ユーザー数50人以下なら月額3〜5万円、50~100人なら月額5〜10万円ほどが目安でしょう。

パッケージ型の導入コスト

パッケージ型とは、必要機能がワンパッケージになったeラーニングサービスを自社サーバーにインストールする方法です。
パッケージ型の初期費用は、パッケージのみなら10万円前後、オプションによっては数百万円に及ぶこともあります。

自社構築型の導入コスト

自社構築型とは、一から自社でeラーニングシステムを構築する方法で、もっともコストが嵩みます。
自社構築型の初期費用は、規模や仕様によって大きく異なりますが、目安は100万円〜。大規模なシステム導入であれば、1000万円を超える可能性もあります。

eラーニングを効果的に取り入れるためのポイント

ここからは、eラーニングを効果的に取り入れるためのポイントを4点ご紹介します。

導入前に課題とユーザーを明確に

eラーニングを効果的に取り入れるには、まずは導入前に自社の課題を洗い出し、その課題をeラーニングにより解決できるのかどうか見極める必要があります。
また、実際にeラーニングを使用するユーザー像を明確にし、それにマッチしたコンテンツを準備する必要もあります。
eラーニングはただ導入すればいいというものではなく、目的に即した利用こそが結果に繋がります。

コンテンツの調達方法を検討

eラーニングのコンテンツには、既製品を使う方法とオリジナルコンテンツを作成する方法があり、既製品の一部をカスタムすることも可能です。
そして、業種や目的、ユーザーによって、必要なコンテンツは変わるため、導入時には、より効果的に使用できるコンテンツおよびその調達方法を選択・作成する必要があります。この段階で、適切なコンテンツを調達できなければ、その後の運用はうまくいきません。
コンテンツはいわば教材です。その選択はeラーニング導入の鍵になるため、慎重な見極めが必要です。

運用体制の整備

eラーニングは、うまく運用することで業務の効率化を図れますが、そのためには運用体制を事前に整えておくことが大切です。自社で運用チームを整備することはもちろん、eラーニングベンダーのサポートを受けたり、場合によっては他社に運用の代行を依頼したりと、無理なく効果的に行える運用プランを作成しておきましょう。

学習履歴を効果的に活用

従業員の学習履歴がデータとして蓄積できるのは、eラーニングの大きな特徴です。
しかし、この学習履歴をただ個人の成績としてのみ管理するのは勿体無いことです。統計データとして運用を行い、今後の社員教育や問題の把握、施策の効果検証などのために活用しましょう。
そうすることで、個人だけではなく、企業全体のスキルアップを目指せます。

まとめ

eラーニングについて、メリットやデメリット、導入のポイントなどご紹介しました。
今後テレワークが浸透していくにつれ、企業研修のeラーニングへの移行も、必然的に増加していくと予想されます。eラーニングは現代にマッチした学習体系であると言えるでしょう。
eラーニングは、うまく利用することで、受講者にも管理者にも大きなメリットを与える学習ツールです。メリットとデメリットを的確に把握し、課題やユーザーを明確にした上で、自社に合ったシステム導入を目指しましょう。

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