SOP(標準作業手順書)とは?目的や手順、作成のポイントを解説

SOP(標準作業手順書)という言葉を、見たり聞いたりしたことはありますか?
標準作業手順書という文字だけ見たら「マニュアル?」という印象ですが、実際のところどうなのでしょうか?

SOP(標準作業手順書)とは?

SOPとは「Standard Operating Procedures」の略で、日本語では「標準作業手順書」と言います。
SOPは、業務や作業を進めるための手順を詳細に記した指示書のことです。
「標準作業」とは、無駄なく安全で効率的な手順で行われる作業のことを指します。

SOPがあることで、作業が標準化されますので、業務品質を均一に保つことができるようになります。
またSOPには、製品やサービスの信頼性・確実性を確かなものにするために守るべき事項や作業順序がまとめられていますので、無駄なく効率的な作業が行えるようになり、業務効率化にも繋がります。

SOPは自動車メーカーなどの製造業における生産ラインや医療業界の治験などで使われることが多いものです。特に治験ではSOPに基づいて業務を行うことが義務づけられているため、必要不可欠となります。

なぜSOPは必要か?

SOPを利用することによって誰がやっても同じ結果が出るようになります。
そのために人の動作や機械操作の手順を、現状において最善のものとして定めた内容となっています。
SOPの目的は、安全・品質・効率を保証することであり、それを達成するための手段です。
そのため、常に最善なものになるよう改善し続ける必要があります。

SOP作成で従業員の意識を変える

SOPの作成は、その作業を行っている担当者を含む少数で作成することが大切です。他人が作ったSOPでは思うように実行されません。
一人で作らずグループで作ることによって、それぞれが持っている知恵や知識、経験を活かせますし、実際の担当者であればSOPを作成しているうちに改善点が見えてくることもあるでしょう。

また、自分たちの仕事を分析することによって、担当業務の重要性を再確認することができますので、責任感や当事者意識も生まれます。
実際の作業担当者がSOPを作成・改善していくことによって、より良い方法を考えていくことが組織風土として定着するなど、SOP作成は重要な役割を果たします。

SOPの作り方

SOPに決まった書式などはありませんが、作業の手順と急所、理由の3つは最低限網羅しておかなければなりません。

  1. 作業手順
    誰がやっても同じ結果になるように、順番に手足の動かし方など詳細な方法を記述する。
  2. 急所
    一連の作業の中で上手くいくようにするポイント(要点)、勘所、絶対に手を抜いてはいけないポイントを記述する。
  3. 理由
    作業手順と急所の理由を説明する。理由を知ることによって早く覚えることができ、また確実に実行されるようになる。

手順1 SOP作成の目的を明確にする

作成前に何の目的で作るかを明確にしておく必要があります。
目的を明確にしないまま作成した場合、作ることが目的になってしまい、作成後は引き出しにしまわれ二度と日の目を見ないと言う可能性もあります。
これはマニュアルを作成する場合に起こりやすい失敗例の最たるものです。

そのためSOPを何のために作成するのかということ明確にしなければならないのです。

手順2 SOPの作成体制を明確にする

次に作成体制を明確にします。
誰が作るのか、誰がチェックを行うのか、誰が承認を行うのか、誰と合議するか…といった流れを明確にして、期限を設けます。
多くの場合、作成者はリーダーや監督者が、承認はその上司が行います。
また、品質管理などの面から関係部署の合議をもらうことによって最終的に決定されます。
作成するのは作業するチームですが、最終的には組織で作成したという流れを作ることが肝心です。

手順3 SOPに記載する内容を明確にする

記載する内容について、まずは法律や条令に反した内容ではないか、顧客からの要求に答えることができるものか、過去のクレームやトラブルが配慮されているかなどを確認にしておきましょう。
また、作業の特性や技術的理由から手順が決められている場合もあります。
そのため関連する技術規格(ISO規格やJIS規格、業界団体の規格など)に対応する必要があるか、あらかじめ調べておく必要があります。

なお、JIS規格は『日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格のこと』で、ISO規格は『国際的な取引をスムーズにするために、何らかの製品やサービスに関して「世界中で同じ品質、同じレベルのものを提供できるようにしましょう」という国際的な基準』のことです。

手順4 SOPに記載する作業手順を設計する

JIS規格やISO規格をクリアできる内容で作成するためにも、まずは作業の内容と順番、確認事項などを明確にしていきましょう。
作業の単位は最小単位で記載します。具体的には一連の動作で、1つのモノが取り付けられたり、外されたり、変形したりするといった内容です。
作業者が、手順の1つ1つを終えたことを認識できる単位で考えていきます。
まとめる際に、順番を入れ替えたり、作業方法を見直したりするので、一旦箇条書きで書くと追加や修正がしやすくなります。

設計段階では、作業者が無理なく作業ができるように「動作経済の原則」などを取り入れることが大切です。
動作経済の原則は

  • 動作の数を減らす
  • 動作を同時に行う
  • 動作の距離を短くする
  • 動作を楽にする

ということです。この原則を考慮して作成すると無駄がなくなりスムーズな作業ができるようになります。

また、ひと目見ただけでポイントがわかるように画像やイラストを使用したり、作業内容が理解しやすくなるように動画を活用したりすると良いでしょう。

手順5 作業支援計画を立てる

手順を設計した後は、手順通りに間違えずにできるように作業支援計画も考えます。
手順書をすべて暗記することは不可能です。見落としたり、忘れたりしてしまうことは誰にでもあり得ます。
作業支援計画では、「ミス」や「忘れること」を防止するために、フールプルーフと呼ばれるポカヨケ(使用者に完全性を求めず、誤って作業をしないようにする仕組のこと)をどのように取り入れるかを考えます。
例えば、ネジの取り出しミスを検知するセンサーを付けてブザーで知らせたり、あらかじめネジやナットの数を揃えておくことで余った場合に付け忘れに気づかせたりするといった工夫をします。

手順6 SOPの試作評価を行う

実際に運用する前に、SOPの試作や評価を行います。
試作の際には、実際に作業を行い、SOPが有効かどうかの評価をします。
やってみて問題点があれば修正し…やってみての繰り返しで、より良いものを作成します。机上の空論で作成しても失敗することが多いので、実践を通じて知恵やポイントを急所に盛り込んでいきます。

試作の評価では、作業者の動作を観察し、手順通りに作業しているかをチェックをします。
手順通りにされていない時は、手順を守るように指導します。
注意すべきは、手順通りにできない場合にその手順に何らかの無理や不具合がある可能性があることです。無理などがある場合は、作業者の動きを再度観察し、問題の発見や原因究明、手順の再検討を行いましょう。

手順は決めたら終わりではありません。試作はもちろんですが、実際の運用後も状況に応じて改訂していくことも大切です。

手順7 作業場を整える

SOPの手順通りに作業ができるように、作業支援計画の段階で検討した工夫やツールなどの整備を行います。
具体的には、作業者の目の前にひと目見ただけでポイントや注意点がわかるように絵や写真を掲示したり、ネジやナットの数を揃えて見える化したりするなどのポカヨケを設置します。
「SOPがあるし教育もした!」とSOPだけに頼るのではなく、仕掛けやツールを駆使して正しい作業ができるように徹底して準備しましょう

SOP作成のポイント・注意点

最後にSOPを作成する際に押さえておきたいポイントをまとめましたので、確認しておきましょう。

  1. 達成すべき目標が明確になっている
  2. 誰もが実行できる容易な内容で記載されている
  3. 安全に作業するポイントが記載されている
  4. 作業要点がわかりやすく記載されている
  5. 見やすく簡潔に記載されている
  6. 異常時の処置を記載しておく
  7. SOPに従って作業した結果、不適合品が出ないこと
  8. 実施や改訂に関する責任と権限を明確にしておく

SOPに従って完璧にこなすということは簡単にできそうで実際はなかなか難しいです。
そのため新人に教えることを前提とした、具体的な内容で、かつ図や写真、動画を取り入れながら、どうやっても間違いが起こらないように記載していきます。
もし間違えたとしても異常に気付けるポイントも記述するとなお良いでしょう。

まとめ

確実に間違いなく安全な作業を行うためにSOPは必須です。
覚えておけば良いじゃないかという方もいるかもしれませんが、全員がいつも100%ミスをしないとは限りませんし、口頭での教育ばかりでは教育者自身が知らないことや伝え忘れることがある可能性もあります。
既存社員のためにもなるSOPを是非作ってみてください。